077037 ランダム
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Lee-Byung-hun addicted

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第4話

コタツにみかん 第4話

ローラーコースターの安全ベルトを確認し終わりコースターの出発をにこやかに見送った揺がふと柵の外に目をやると犬の着ぐるみが小学生と並んで手を振っている。
「いやだ・・・何かやっちゃったかな」


「どうしたの?何かあったビョン・・・あ・・。」
揺が慌てて口を押さえる。
「もう彼にはばれてるから」とビョンホンは犬の頭をとりながら答えた。
「え?ばれてるって・・ぼく知ってるのこの人」
「うん。僕のママがファンなんだ・・・僕は嫌いだけど」
「・・そういうことらしい」ビョンホンが頭をかきながら答えた。
「で、何やってるの?」
「つまらないって一人でぼ~っとしてるから一緒に遊ぼうって誘った。」
「あ、そう・・・何か楽しそうね。」
「僕名前は?」揺は少年に訊ねた。
「田中わたる」
「そう。わたる君、じゃ、彼のことよろしくね。いろいろ案内してあげて。ここ今日が初めてだから。知ってると思うけど彼、日本語あんまりよくわからないからね。ゆっくり話してあげて。英語はわかるから。適当に。あ・・それから・・・」
「わかってる。内緒なんでしょ。」とわたる。
「そ、君は賢いね。じゃ、ビョンホンssi頑張ってね。二人とも楽しいひとときを花やしきでお過ごし下さい。あ、もう戻らなくちゃ、じゃあね」
とそういうと揺はにっこり笑って手を振り走り去った。

「おじさん、何から乗りたい?」
「・・・あれ」ビョンホンはビックリハウスを指差した。

ビックリハウスから出てきた二人はゲラゲラと笑っている。
「意外にイケてるよ・・おじさん、結構・・・センスいいね」
わたるは口ではそんな憎まれ口を叩いていたが表情はすっかり子供らしくウキウキしたものに変わっていた。
「コンドハワタルノバン、ナニニスル?」
二人はその後、いくつかのアトラクションを回った。
わたるにとってそのどれも今までに体験したことがない驚きがあった。
最初ベンチに腰掛けてふてくされていた彼とは別人のように楽しそうな顔。
ビョンホンはそんな彼の顔を見て何だか嬉しい気分だった。
「ワタル・・ソロソロジカン・・サイゴハアレ」
ビョンホンが指差したのはローラーコースター
揺が安全ベルトを点検している姿が見えた。

「ねえ・・・あの人おじさんの彼女?」わたるが訊ねた。
「ウン、ソウ。タイセツナヒト。」
「でも、うちのママ知らないよ。ま・・芸能人は大変だからね。」
「ソウ。タイヘンナンダ。ダカラコレモトレナイ」
ビョンホン犬は自分の頭を指差した。
「とっちゃえばいいよ。誰かなんか言ってきたら僕のパパってことにしてあげるよ」
そういうわたるは妙に嬉しそうだった。
「ソウ?ジャオコトバニアマエテ・・・」
そういうとビョンホンは着ぐるみの頭をはずした。
そして手を繋いで乗り口に向かった。

「お客様・・頭はそちらのかごの中にどうぞ」
揺はそう言って笑っている。
「パパ・・早く」わたるがビョンホンを呼んだ。
「パパ・・・」揺は目を白黒させている。
ビョンホンはそんな彼女に悪戯っぽくウインクをした。
苦笑いする揺。
彼女は安全ベルトを点検し終えると「いってらっしゃい~」元気よく大きな声で二人を送り出した。

「ママがローラーコースターは凄く怖いって言ってたんだ。ディズニーランドのよりも怖いって。本当に怖かったよ。ビルにぶつかるかと思った。」
わたるは興奮して「ママに報告しないと・・」と一人真っ赤な顔でつぶやいている。
ビョンホンは満足げな笑みで彼を見ていた。
「サ、ショーガハジマッチャウ。イカナクチャ。ワタル・・・ナンデモヤッテミテ・・・ジンセイハタノシイヨ」
ビョンホンはそういうとわたるの頭をグリグリと撫でた。

「ねえ、おじさん。僕おじさん嫌いだけど・・ショー頑張ってね。さっきはちょっとカッコイイと思った。犬のぬいぐるみ着てるのに足がピンと上がってさ。踊りも上手だったし・・・それに・・楽しかった。ありがとう」
そう話すわたるの顔はとても明るかった。
「ウン。ガンバリマス。ジャ」
ビョンホンは右手を彼に差し出した。
「おじさん・・・ちょっとだけ好きになったよ。ちょっとだけだけど・・ママもちょっとだけ貸してあげてもいいよ。ちょっとだけだけど・・・。」
わたるはビョンホンの手をしっかりと握ってそういった。
ビョンホンは彼を抱きしめて言った。
「オカアサンタイセツニ。・・ソレカラ、オトウサンモタイセツニ・・ジャバイバイ」
ビョンホンはステージに向かって慌てて走っていった。
「ビョンホンssi~サランヘヨ~」わたるはジャンプしながらそう叫んでいた。


「実に惜しいな~」高橋は給料袋を手に唸っていた。
「ねえ、本当にもう来てくれないの?あんた顔もいいからさ・・着ぐるみ着ないでうちの目玉のショーにしてもいいよ?ねえ、考えてくれないかな・・」
「いや。彼他にも仕事してて・・今日は特別ですから。すいません。ご期待に副えなくて」
平謝りする揺の横で彼は神妙な面持ちで笑いをこらえていた。


「あ~楽しかった!」
事務所から出てくるともう空は真っ暗。
ビョンホンはそう叫ぶと大きく伸びをした。
そんな彼を微笑んで見つめる揺。
「楽しんで頂けて良かったけど。何か不公平。あなたいつの間にかパパにまでなって・・・ヒーローになって・・乗り物にも乗ってたし・・私なんかずっと安全ベルト点検してたっていうのに」
「ごめん、こめん。揺。じゃ、今から乗ろうよ。」
ビョンホンは揺の肩を抱いて言った。
「もう終わっちゃったよ。」口を尖らせて揺。
「じゃあ・・・・どっかやってないの?そうだ。ワタルがディズニーランドはスゴイって言ってた。ディズニーランド行こうよ」
「これから?」驚く揺。
「そう。これから。夜は長いから・・ね」
ビョンホンはそういうと揺の頬に軽くキスをした。


「平日の夜だって言うのに結構混んでるね・・」
揺はきょろきょろ周りを眺める。
「へ~すごいね。ロッテワールドより広そうだ。え、あと3時間しかないよ。揺行くよ」
「行くよって・・・どこ?」
「とりあえず片っ端から乗らないと」
揺は走り出すビョンホンに手を引かれながら楽しくなりそうな夢の国での3時間に想いを馳せた。






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